[冊子デザイン・イラスト]株式会社 丸五 100周年記念パンフレット
株式会社丸五さまの100周年記念パンフレットの制作(デザインディレクション、エディトリアルデザイン、イラスト)させて頂きました。(2018年11月)
デザインは、イラストをあしらいながら、柔らかで楽しい印象に仕上げています。表紙のロゴはフォントではなく、あえて、創業当初の旗に印刷されていた手描きのロゴをデジタル化して使用しました。手描きにしか出すことのできな線の味わい、また生命力を生かしたいと考えました。100年の歴史、そして高度な手仕事の象徴としての意味も込めています。なお、デザインの着想の一部は、手元にある明治期の文献からも得ています。
ページの四隅に配した同心円には、水の波紋が広がるように、あるいは太陽が大地を照らすように、会社がさらなる発展を遂げてほしい、そんな思いを込めています。
背表紙には、「1,2,3,4,Go! ⑤ to the next 100 years」というコピーが入っています。こちらは、私が勝手に考えて入れた一文です。社名の「丸五」の「五」と、英語の「Go」が同音であることに気づき、書かずにはいられなくなりました。こうした遊びを忍ばせるのがとても好きです。しかし勝手に書き添えた一文、却下されることを覚悟しつつ提案したところ、採用してくださり、とても嬉しかったです!
デジタルコラージュは、100年の歴史の重みを感じさせる資料写真を組み合わせて制作しています。写真は、ご要望を生かして輪郭には全てぼかし(全ページ)を入れています。
コラムでは、当時の広告も紹介されています。「山はアルプス 流れはナイル たびは⑤の外になし」。ウィットあるコピーや、マラソンを企画するなどの斬新な広報戦略は、今見てもとても魅力的です。こんなチャーミングな広告が現代にももっと増えたらいいのになと思いました。
イラストは、全ページに配しています。
コラムページでは凛々しい創業者の藤木伊太郎氏や、工場で見た魅力的な道具、また足袋の縫製に用いられる特殊なミシンなどをアクセントにあしらいました。足袋を作るには、専用の道具がいくつもあり、工場見学はとてもワクワクする体験でした。ものづくりをするための道具は美しいですね(道具好き)。
年表ページでは、会社の製品を飾り罫のように、ページの上部にあしらって楽しさをプラスしました。なお、ページ背景の白いギザギザしている模様は、工場のノコギリ屋根をシンボリックに図式化して配しています。
お仕事を通して、会社の100年分の歴史にわずかですが触れることができました。そして工場見学では、足袋シューズのほとんどの工程が、手の技術を生かした職人の仕事であることを目の当たりにしました。魅力的な商品は、必ず職人の手仕事の技術という後ろ盾があるのだと実感しました。歴史ある会社の豊かさ、そして手技が生きているものづくりの現場の魅力的を感じ、学びの多いお仕事でした。
制作はいつも大変お世話になっている吉備人さん、打ち合わせへの道すがらのおしゃべりも楽しい思い出の1つです。
クライアント : 株式会社丸五
制作 : 株式会社吉備人
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